かたつむりのフランス語カフェ

吾輩はふら語教師である。名前はかたつむりである。

フランス語表現:文末の « quoi »と « ou quoi ? »の意味と使い方

ボンジュール!かたつむりです。

さて、今回はフランス語の日常会話でよく出てくる表現、文末の « quoi » と « ou quoi ? »を解説します。

フランス語学習者の方が初級で学ぶ« quoi »といえば、疑問代名詞の« quoi »「何」ですが、フランス語のくだけた話し言葉では、« ..., quoi » や « ... ou quoi ? »のように文末に置かれて使われることがよくあります。

結論から言うと、文末の« ..., quoi » は直前の内容の要約や結論づけをあらわし、文末の« ... ou quoi ? »は相手に対する非難・咎めをあらわします。

この2つの表現はまったく別の表現なので注意が必要です。

それでは、詳しくみていきましょう。

目次

1. [おさらい] 疑問代名詞の« quoi »:「何」

まずはおさらい。« quoi »のもっとも基本的な意味は、疑問代名詞の「何」という意味でした。

C’est quoi ? =Qu’est-ce que c’est ?
これは何?

Tu fais quoi aujourd’hui ? =Qu’est-ce que tu fais aujourd’hui ?

今日は何をする?

Tu as mangé quoi ce matin ? =Qu’est-ce que tu as mangé ce matin ?

今朝は何を食べたの?

2. 要約・結論づけする文末の« quoi »:「要するにーなんだ」

さて、ここからが本題。

« quoi »は 文末に置かれることで、直前の内容を要約して結論づけたり、自分の発言を強調したりします。日本語にするのが難しいですが、あえて訳すと「要するにーなんだ」というところでしょうか。

これは若者の話し言葉によく見られる表現で、ほとんど口癖のように多用する人もいます。

例文を見てみましょう。次の抜粋はドラマ『エージェント物語』シーズン3第2話のワンシーン。独り身になって新たな出会いを求めている女優のモニカ・ベルッチが素性を隠してパーティに参加し、ある青年と話をするシーンです。

« quoi »がたくさん出てくる会話です。本来の« quoi »「何」という意味で使われている部分は赤色で、要約・結論づけの« quoi »は青色で示しました。

Homme : Tu fais quoi, dans la vie ?

男:毎日何をしているの?

Minica :  Comme tout le monde. Je travaille, je prends le métro, je vais au marché. J'achète mes légumes, mon pain, ma viande...

モニカ:みんなと同じよ。仕事をして、メトロに乗って、市場に行って。野菜を買ったり、パンを買ったり、肉を買ったり...

Homme : T'aimes faire les courses, quoi. Moi aussi. Je passe des heures au marché à choisir ce que je vais cuisiner.

男:要するに、買い物が好きなんだね。僕もだよ。市場で長い時間かけて料理の食材を選ぶんだ。

Minica  : Tu cuisines ?

モニカ:自炊してるの?

Homme : Oui. Je me débrouille, quoi.

男:うん、一人でなんとかやってるよ。

Minica :Et tu vas me préparer quoi, quand tu vas m'inviter à dîner ?

モニカ:じゃあ、あなたが私をディナーに誘う時は何を作ってくれるの

« Tu fais quoi dans la vie ?»

ふつう職業を尋ねる時に使う慣用表現ですが、本職が女優ということを言えないモニカはこの質問を「毎日何をしてるの?」という広い意味に捉えられてはぐらかしています。この« quoi»は「何」という基本的な意味ですね。

« T'aimes faire les courses, quoi»

この« quoi»は、相手が言っていることを受けて、「それはつまりこういうことだね」というニュアンス。「市場で野菜を買って、パンを買って...」という相手に対して、「つまり君は買い物が好きなんだね」と結論づけしているわけです。長ったらしいものをズバッと要約する感じ。(ちなみに、話し言葉では、t'aimes =tu aimes)。

« Je me débrouille, quoi»

この« quoi»も同じような使われ方。「一人で料理する」ということを言い換えて、「つまり(他人の力を借りずとも)自分一人だけでなんとかなる」と結論づけています。

« tu vas me préparer quoi

この« quoi»は「何」という基本的な意味ですね。

ちなみに、文末の« quoi»は、必ずしも要約や言い換えである必要はなく、単純に自分の発言の強調としても使うことができます。

3. 相手を咎める文末の« ou quoi ?»:「ーなの?」「ーなんじゃないの?」

文末の«... ou quoi ?» は相手を咎める表現として、やはり若者の話し言葉でよく見かけます。

日本語にすると「ーなの?」「ーなんじゃないの?」くらいになるでしょうか。

次の例文は最近ぼくが観た映画『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』(Mandibules)のワンシーン(ちなみにこの映画はかなり笑えます)。主人公マニュは道である女性とすれ違いますが、この女性はマニュのことを高校の時の同級生と勘違いして声をかけてきます。

Femme : Mais oui, c’est toi. C’est dingue ! Je t’ai reconnu direct. Frédéric Breton, c’est fou !
女:やっぱり、そうだ!信じられない!すぐあんたってわかったわよ。フレデリック・ブルトンとここで会うなんて!
Manu : Hein ? Comment tu m’as appelé ?
マニュ:え? 俺のことをなんて呼んだ?
Femme : Bah ton nom, Fred. T’es con ou quoi ? Oh, Cécile Doyon, lycée Saint Thomas.
女:あんたの名前じゃない、フレッド。あんたアホなの?ほら、私、セシール・ドワイヨンよ、サン・トマ高校の。
Manu : Cécile ?
マニュ:セシール?
Femme : L’équipe de handball. Attends, quand même… T’as tout oublié ou quoi ?
女:ほら、ハンドボール部の。ちょっと、嘘でしょ。ぜんぶ忘れちゃったって言うの?

«T’es con ou quoi(話し言葉では、tu es=t’es)

あえてニュアンスを訳出すると、「あんたバカなの?そうでなければ何なの?」というあたりでしょうか。早い話、相手のバカさ加減を咎めているわけです。

«T’as tout oublié ou quoi(話し言葉では、 tu as=t’as)

ニュアンスは「全部忘れちゃったの?そうでなければ何なの?」。ここでも、相手が何も覚えていないことを咎めています。

他によく使う表現としては、

Ça va pas ou quoi ?
頭おかしいんじゃないの?(=「頭おかしいの?そうでなければ何なの?」)

があります。

相手が常識はずれなことをしたり、言ったりした時に使う表現です。信じられないという気持ち、頭がおかしいんじゃないかという気持ち、相手を咎める気持ちが込められた表現です。ちなみに、ここでは、Ça va pas =Ça va pas la tête (頭がうまく機能していない。頭が狂っている)のこと。

 

まとめ

以上、フランス語の日常会話でよく出てくる表現、文末の « quoi » と « ou quoi ? »を解説しました。

いずれも、フランスの若者の話し言葉でよく見かける表現です。知らないと意味がピンとこないかもしれませんが、一度覚えてしまえばもう安心。

« ... ou quoi ? »は少々攻撃的なニュアンスがあるので僕はあまり使いませんが、フランス人とくだけた言葉で話をする時には« ..., quoi »はよく使います。

皆さんもたくさん例文に触れてマスターしてくださいね。

それではまた。

À bientôt !