かたつむりのフランス語カフェ

吾輩はふら語教師である。名前はかたつむりである。

おすすめフランス語シャンソン・ベスト3

ボンジュール!フランス語教師のかたつむりです。

今日は、ボクがよく聴くフランス語のシャンソン・ベスト3を紹介したいと思います。

ボクは洋楽ロック・ポップスが好きでよく聴くんですが、主軸はやはり英語のものになっています。フランス語のシャンソンって実はあまり聴かないんです。なぜかというと、フランス語のシャンソンって、「歌」というより「語り」に近い感じがするからです(「語りで何が悪い?」と言われるとそれまでですが)。

とはいえ、フランス語の曲のなかにもボクが好きなものは少なからずあって、たまに無性に聴きたくなります。今回はそんな曲の中から3曲を取り上げて、みなさんに紹介したいと思います。

1. Comment te dire adieu / Françoise Hardy (フランソワーズ・アルディ)


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まずは、ボクのお気に入りのフランス人歌手、フランソワーズ・アルディの一曲「Comment te dire adieu」(邦題は「さよならを教えて」)。1968年にリリースされた、同名の素晴らしいアルバム『Comment te dire adieu』に収められています。フランソワーズ・アルディはカヴァーをよくする歌手で、このアルバムも二曲を除いて全曲、有名なミュージシャンのカヴァー曲となっています。

「Comment te dire adieu」は、アメリカ人作曲家アーノルド・ゴーランドの曲「It Hurts to Say Goodbye」に合わせて、フランス・シャンソン界のボス、セルジュ・ゲンスブールがフランス語の歌詞をつけました。ゲンスブールはすごく鼻にかかった声で歌う歌手なのでボクは苦手なんですが、インテリの不良みたいなところがあって、フランス人には根強い人気があります。言葉を操る能力に長け、その歌詞はしばしば多義的で難解です。「Comment te dire adieu」も言葉遊びに満ちています。

例えば、次の抜粋を見てもわかるように、この曲は至る所にexが現れ、韻を踏みます。

Sous aucun prétexte
Je ne veux
Devant toi surexposer mes yeux
Derrière un kleenex
Je saurais mieux
Comment te dire adieu

(訳)

どんな理由があっても
イヤなの
涙目なんて見せるのは
ティッシュの陰からだったら
わかるかも
さよならの告げ方が

とはいえ、言葉遊びもさることながら、聴きどころはなんといっても、フランソワーズ・アルディのチャーミングな歌声。彼女の声は一度聴いたら病みつきになりますよ。

2. Que reste-t-il de nos amours ? /  Stacy Kent(ステイシー・ケント)


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ステイシー・ケントはフランス人歌手ではなく、アメリカ人歌手です。ですので、よく聴くと彼女のフランス語にはうっすらと英語訛りが混じっています。ボクは外国人の歌うフランス語の曲がけっこう好きです。

ここで紹介するのは、2010年にリリースされたアルバム『Raconte-moi...』に収められた曲「Que reste-t-il de nos amours ?」(邦題は「残されし恋には」。原題は「私たちの恋のうちで今何が残っているの?」)。この曲はフランス映画が好きな人にはピンとくる曲ではないでしょうか。他でもありません、トリュフォーの『夜霧の恋人たち』(フランス語原題は『Baisers volés』盗まれた唇)に使われている曲です。作曲者はシャルル・トレネ

サビは次の通りです。

Bonheur fané, cheveux au vent
Baisers volés, rêves mouvants
Que reste-t-il de tout cela ?
Dites-le-moi

(訳)

セピア色の幸福、風に流れる髪
盗まれた唇、移りゆく夢
それらのうちで今何が残っているの?
教えておくれ

ご覧のように、トリュフォーの映画の原題 『 Baisers volés 』(盗まれた唇)ってこの曲の歌詞から来てるんです。メロディー、歌詞共に、とてもノスタルジックで切ない曲です。

過ぎ去りし恋を歌ったこの曲はフランスでは定番のスタンダード曲に属し、カヴァーもたくさん出ています。ぜひ、ステイシー・ケントの甘く優しい声でこの曲を聴いてみてください。きっと気にいると思います。

3. Sympathique / Pink Martini(ピンク・マルティーニ)


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最後もまた、外国人歌手が歌うフランス語の歌になります。アメリカ人の音楽グループ、ピンク・マルティーニの「Sympathique」。1997年にリリースされた同名のアルバム『Sympathique』に収められています。

この曲はフランスの詩人ギヨーム・アポリネールの詩「Hôtel(ホテル)」 にインスパイアされてできたそうです。実際、「Sympathique」はアポリネールの詩の冒頭二行から始まります。

Ma chambre a la forme d’une cage
Le soleil passe son bras par la fenêtre

(訳)

ボクの部屋は鳥籠の形をしている
太陽が窓からその腕を差し入れる

サビはフランス語初級者にも理解できる単純明快なものです。

Je ne veux pas travailler
Je ne veux pas déjeuner
Je veux seulement l'oublier
Et puis je fume

(訳)

働きたくない
昼食も取りたくない
ただただ忘れたい
だから私はタバコを吸う

思わず口ずさみたくなるリズミカルなメロディーと屈託のない歌詞。アメリカ人のつくったシャンソンですが、いかにもパリっていう感じで、ボクは大好きです。

 

以上、ボクがよく聴くフランス語のシャンソン・ベスト3を紹介しました。まだまだ紹介したいシャンソンはあるのですが、今日はこのぐらいにしておきます。

それでは、また。

À bientôt !