ボンジュール!フランス語教師のカタツムリです。
さて今回は、去年パルムドールを受賞し先日アカデミー賞にノミネートされて今話題の映画『落下の解剖学』で監督をつとめるジュスティーヌ・トリエ (Justine Triet)さんを紹介したいと思います。
ところで、『落下の解剖学』の予告編だけを観た人は「トリエ監督は英語で映画を撮っている監督なんだ」と勘違いするかもしれません。しかし、彼女はれっきとしたフランス人で基本的にフランス語で映画を撮っています(いちおう念のため)。
以下に、ジュスティーヌ・トリエ監督のプロフィール、経歴、私生活、日本語で観られる映画作品をまとめてみました。
目次
- I. ジュスティーヌ・トリエのプロフィール
- II. ジュスティーヌ・トリエの経歴
- III. 日本語で観られるジュスティーヌ・トリエ監督の映画まとめ
- IV. 映画監督アルチュール・アラリとの交際
- V. まとめ
I. ジュスティーヌ・トリエのプロフィール
名 ジュスティーヌ Justine
姓 トリエ Triet
国籍 フランス
生年月日 1978年7月17日
出生地 フェカン(フランス)
II. ジュスティーヌ・トリエの経歴
1978年7月17日、ノルマンディ地方の港町フェカンに生まれる。
パリ国立高等美術学校(Ecole Nationale Supérieure des Beaux-Arts de Paris)卒業。
2006年、学生のデモをとらえた短編ドキュメンタリー映画『Sur Place』で監督デビュー。
2008年、フランス大統領選挙を題材にしたドキュメンタリー映画『Solférino』を制作(この映画はのちの長編映画『ソルフェリーノの戦い』の下書きになる)。さらに、サンパウロに渡りドキュメンタリー映画『Des ombres dans la maison』を制作。
2012年、売れない画家と女優の一夜の出会いを描く短編映画『Vilaine fille, mauvais garçon』がベルリン国際映画祭でヨーロッパ映画賞を受賞。
2013年、フランス大統領選挙と家庭内紛争を重ねて描く処女長編映画『ソルフェリーノの戦い (La bataille de Solférino)』で成功を収める。この映画は2014 年のセザール賞最優秀初監督作品賞にもノミネートされた。
2016年、脚本・監督をつとめた長編映画『ヴィクトリア (Victoria)』(ヴィルジニー・エフィラ主演)がカンヌ国際映画祭の批評家週間部門に出品される。
2019年、長編映画『愛欲のセラピー (Sibyl)』で再びヴィルジニー・エフィラとタッグを組む。カンヌ国際映画祭の公式コンペティション部門に選出されたが、賞には恵まれなかった。
2023年5月、最新作『落下の解剖学 (Anatomie d’une chute)』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。この映画は、2024年1月、ゴールデングローブ賞外国語作品賞と脚本賞を受賞し、アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされた。
III. 日本語で観られるジュスティーヌ・トリエ監督の映画まとめ
1.『落下の解剖学 (Anatomie d’une chute)』(2023)
フランスの山の中で暮らすドイツ人作家サンドラ、夫のサミュエル、そして視覚障害者の息子ダニエル。ある日、サミュエルが遺体で発見される。自殺なのか殺人なのか?妻のサンドラに嫌疑がかけられ、夫婦関係の解剖ともいうべき裁判が始まる...
2024年2月23日から日本公開!
予告編はこちら↓
2.『愛欲のセラピー (Sibyl)』(2019)
小説家から精神科医に転職した主人公シビル(ヴィルジニー・エフィラ)。だが、再び書きたいという欲求に囚われ、精神科医を辞める決心をする。インスピレーションを探しているところに、悩める若手女優のマルゴが訪ねてくる。彼女の話はシビルを虜にしていき...
予告編はこちら↓
3.『ヴィクトリア (Victoria)』(2016)
二女のシングルマザー弁護士ヴィクトリア(ヴィルジニー・エフィラ)。ある日、結婚式で友人のヴァンサンと、かつて窮地を救ってやった元麻薬ディーラーのサムに出会う。が、その翌日、ヴァンサンは恋人に殺人未遂容疑で訴えられる。唯一の目撃者は犬。ヴィクトリアは渋々友人の弁護を引き受けるのだが...
シリアスな内容ですが、ユーモアが散りばめられていて、個人的にかなりオススメです。
現在、アマゾンプライムビデオで視聴可能
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4.『ソルフェリーノの戦い (La bataille de Solférino)』(2013)
2012年5月6日、大統領選挙の日。ジャーナリストのレティシアは社会党本部のあるソルフェリーノ通りに取材に向かおうとする。が、折あしく元夫のヴァンサンが子供に面会するために現れる。もう一つの戦いが始まる...
予告編はこちら↓
IV. 映画監督アルチュール・アラリとの交際
ジュスティーヌ・トリエ監督は同じく映画監督のアルチュール・アラリ(Arthur Harari)と交際している。二人の間には二人の娘がいる。
アルチュール・アラリは『落下の解剖学 (Anatomie d’une chute)』『愛欲のセラピー (Sibyl)』で、トリエ監督と脚本を共同執筆している。
また、役者として、『落下の解剖学 (Anatomie d’une chute)』では文芸評論家、『愛欲のセラピー (Sibyl)』ではカッツ医師、『ヴィクトリア (Victoria)』ではチンパンジーの飼い主を演じてもいる。
V. まとめ
ジュスティーヌ・トリエ監督が政治色の濃いドキュメンタリー映画から出発している点は興味深い。幸にして、日本でも彼女の作品の大部分は見ることができる。『落下の解剖学』はもちろん必見だが、個人的には同じく裁判ものの『ヴィクトリア』をおすすめする。