フランス映画界にふたたび衝撃が走りましたね。
昨年末にはフランスの国民的俳優ジェラール・ドパルデュー氏の性犯罪を暴くドキュメンタリー番組が放映されたところですが、今度はなんと仏女優のジュディット・ゴドレーシュさんが2人の仏映画監督を児童強姦罪で告発しました。
1人目はブノワ・ジャコ監督。2024年2月6日、ゴドレーシュさんはジャコ監督を未成年の時に受けた性的虐待を理由に告訴したことを発表。
2人目はなんとフランス映画の名匠ジャック・ドワイヨン監督。2月8日、ジャコ監督の性犯罪を告発した件でラジオ放送France Interに出演した際、質問を受けたゴドレーシュさんはドワイヨン監督からも未成年の時に性的暴行を受けていたことを告白。
Metoo運動以後、フランス映画界では権威ある監督や俳優、プロデューサーの性犯罪疑惑が後を断ちませんね。
この記事では、女優ジュディット・ゴドレーシュさんが語った性被害の内容についてまとめてみました。
目次
I. 仏女優ジュディット・ゴドレーシュとは?
まずはジュディット・ゴドレーシュ(Judith Godrèche)さんを簡単に紹介しておきましょう。
1. 10代で映画デビュー
ジュディット・ゴドレーシュさんは1972年3月23日パリ生まれ。
10歳の時に、映画『L'été prochain』でデビュー。14歳の時、ブノワ・ジャコ監督の映画『Les Mendiants 』(1988) に出演し、その後、実家を出てジャコ監督と6年間生活を共にします。
15歳の時、ジャック・ドワイヨン監督の映画『La Fille de quinze ans』(1989)に主演出演。
ジャコ監督の映画『La Désenchantée』(1990)で再び主演を演じ、セザール賞新人女優賞にノミネートされます。
ゴドレーシュさんはこの他にも数多くの映画に出演する売れっ子子役でした。
2. フランス映画とアメリカ映画で活躍
ゴドレーシュさんは映画評論家と一般大衆のいずれからも評価されるフランス人女優です。
2010年初監督を務めた映画『Toutes les filles pleurent』が失敗して新天地ロサンジェルスに移住してからは、アメリカ映画にもたくさん出演しています。
以下に代表的な作品を紹介します。
1998年、ランドール・ウォレス監督のハリウッド映画『仮面の男』で レオナルド・ディカプリオと共演。
2002年、スペインでの留学生生活を描くセドリック・クラピッシュ監督の映画『スパニッシュ・アパートメント』で医者の妻役。
2013年、パク・チャヌク監督のハリウッド映画『イノセント・ガーデン』でニコール・キッドマンと共演。
2019年、アメリカ映画『Under The Eiffel Tower』で主演。
3. 過去にも性被害を証言している
実は、ゴドレーシュさんが性犯罪を告発するのはこれが初めてではありません。
彼女は、Metoo運動が盛り上がりを見せていた2017年、アメリカ人プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインに性被害を受けたことを告白した93人の女性のひとりです。
II. ジュディット・ゴドレーシュが今回告白した性被害
1. ブノワ・ジャコ監督による性的暴行
ジュディット・ゴドレーシュさんは14歳の時、25歳年上のブノワ・ジャコ監督の映画『Les Mendiants 』(1988) に出演し、その後、実家を出てジャコ監督と6年間生活を共にしました。
今回、ゴドレーシュさんが告白したのは、映画『Les Mendiants 』のリハーサルから始まり1992年の別離まで続いたブノワ・ジャコ監督の性的支配です。
ジャコ監督が未成年のゴドレーシュさんに強要した性的関係には、平手打ちや、拳骨、ベルト打ちなどのサディスムが14歳の時からすでにあったと言います。
ジャコ監督の性的支配から抜け出すのが困難だった理由をゴドレーシュさんは次のように説明しています。
まず、自身があまりにも従順だったこと。14歳という歳を考えれば当然ですが、相手のジャコ監督は撮影現場で指揮を取り、みんながリスペクトし崇拝する存在です。ゴドレーシュさんは「宗教セクトの信者になったみたいだった」と当時の自身の従順さを振り返っています。
もう一つは、ジャコ監督に従わなかった時の報復が怖かったこと。ゴドレーシュさんによると、ジャコ監督は人を殺したことがあると吹聴し、家にピストルを隠し持ってもいたそうです。また、ジャコ監督の意に沿わない願望を言ったりすると、家庭内暴力が一層ひどくなったと言います。
今回、ゴドレーシュさんは児童強姦罪でブノワ・ジャコ監督を告訴しました。
ジャコ監督は容疑を全面的に否認しています。
2. ジャック・ドワイヨン監督による性的暴行
ジュディット・ゴドレーシュさんはブノワ・ジャコ監督の性犯罪を告発した件で2024年2月8日、ラジオ放送France interに出演しました。ところが、インタビューの中でジャコ氏だけではなく、フランス映画の名匠ジャック・ドワイヨン監督からも15歳の時に性的被害を受けていたことを告白しました。
1989年公開のドワイヨン監督作『La Fille de 15 ans 』で演じた時、ゴドレーシュさんはまだ15歳でした。彼女の話によると、ドワイヨン監督は突然脚本とキャストを変更し、ゴドレーシュさんと監督の間にセックス・シーンを作ったといいます。しかも45回の撮り直し。「私はセーターを脱ぎ、上半身裸になりました。彼は私を撫で、口の中に舌を入れてきました」と女優は語っています。
また、撮影現場だけではなく、プライベートでも性的暴行を受けたことを仄めかしました。「ジェーン(ジェーン・バーキン。当時ドワイヨン監督のパートナー)の家のドワイヨンの書斎で起こったことを見た者は誰もいませんし、私は誰にも話したことがありません」
ゴドレーシュさんはドワイヨン監督も児童強姦罪で告訴したそうです。
ドワイヨン監督は、容疑を否認しています。
まとめ
以上、仏女優ジュディット・ゴドレーシュさんが2人の仏映画監督(ブノワ・ジャコ監督とジャック・ドワイヨン監督)を児童強姦罪で告訴しました。Metoo運動以後、フランス映画界では権威ある監督や俳優の性犯罪疑惑が後を断ちません。今回の告発がどのような展開を見せるのか注目です。