かたつむりのフランス語カフェ

吾輩はふら語教師である。名前はかたつむりである。

言語学習における文法主義の弊害とは?

ボンジュール!ふら語教師のかたつむりです。

今回は言語学習(特にフランス語学習)における文法主義の弊害についてお話しします。

言語学習において文法は極めて大事な要素なわけですが、無反省に「文法は善」という考え方には僕は個人的に反対です。

この記事では、「どうして文法偏向型のマインドセットが弊害となりえるのか」について僕自身の経験をもとにお話ししたいと思います。

今回の話は、特にフランス語圏で生活をする方や、日常的にフランス語を使う機会のあるフランス語学習者さん向けの話になります。該当する方は、ぜひフランス語学習の参考にしてみてください。

もちろん、僕と同じようになれと言っているわけではないので、誤解のなきよう。

目次

僕のフランス語歴と現在

まずは僕のフラ語歴について一言。

僕がフランス語を勉強し始めたのは今から10年ほど前、大学で第3外国語として学び始めました。

第一外国語が英語で、第二外国語がスペイン語だったのですが、ある時ふと思い立ってフランス語を始めました(どうしてフランス語を始めたのかという理由は少々長くなるのでここでは割愛します)。

以来、フランス語の勉強を続けてきたわけですが、今では日常的にフランス語で困ることはほぼなく、一丁前にフランス語講師の仕事もさせていただいています。

文法主義からコミュニケーション主義へ

文法主義の弊害

さて、僕のフランス語学習はおそらく大方の人と同じように文法を学ぶことから始まりました。動詞の活用とか、名詞と形容詞の性数一致とか、時制一致とか、その手のルールのことです。

文法を勉強すること自体は有意義なことですし、それ以外に外国語を勉強するやり方を探すのは難しいとさえいえます。

僕は文法がダメだと言っているのではありません。ただ、ここがポイントなのですが、文法主義学習者になってしまうとコミュニケーションが非効率的になってしまうことが往々にしてあるのです。

僕自身、文法のルールで頭がいっぱいだった時は、名詞ひとつとっても、男性形か女性形か間違わないように少し考えてから発言していました。動詞の活用は言わずもがな。当時は自分が文法的なミスをするんじゃないかと怖くて口数も少なかったです。

コミュニケーション主義へ

ただ、フランスで生活しているうちに気がついてくるのですが、文法的なミスって僕たちが思っているよりも重大でないことがほとんどです。名詞の性を間違えるくらい屁でもないし、活用のミスでさえも文脈さえはっきりしているなら理解されます。

例えば、AといえばいいかBといえばいいかで迷ったとしましょう。おそらく文法的にはどちらかが正解でどちらかが不正解ということになるでしょう。例えば、une table / un table(テーブルひとつ)とか、ils boivent / ils boient(彼らは飲む)みたいに。文法的に几帳面な人はここでいちいち考え込んで、正確な答えを探すかもしれません。でも、はっきり言ってどちらを言ってもまずコミュニケーションに誤解は生じません(文脈があるなら)。「あ間違えたな」と思われるかもしれませんが、話が理解できる以上取り上げるには及ばないミスです。

実を言うと、細かな文法的ルールよりもコミュニケーションの能力の方がずっと大事で、これは自分の伝えたいことを相手にいかに伝えるかということです。私見では日本人の方の多くは、文法を重視するあまりこの点を軽視するきらいがあるのではないかと思っています。

コミュニケーションをうまく取るコツは、間違ってもいいから、簡単な言葉を多く繋いで、自分の言いたいことを明確にすること。そのためには、言い換えたり、例を挙げたり、否定表現を使ったり、といろいろな方法があります。

一発で決めようとする必要はありません。僕の感覚では、日本人の方は往々にして会話の中で俳句を作っている感じがします。575に当てはまるように文章を頭の中で推敲し、それを一回表現して満足してしまう。相手からすると、説明がないので結局何が言いたいのかわからないという事態が生じます。

規則の厳しい俳句形式ではなく、規則の緩い散文形式で自分の言いたいことを説明的に表現しようとすれば、コミュニケーションはずっと捗るはずです。

まとめ

文法主義のデメリット

以上、文法偏向型マインドセットのデメリットをまとめるとこうなります

ー話に間が増える
ー間違えるのが怖くて口数が減る
ー細部が気になり談話レベルで話が組み立てられない

コミュニケーション主義のメリット

反対にコミュニケーション偏向型マインドセットに転向するメリットはこうなります

ー不自然な間が消える
ー口数が増える
ー言いたいことを伝えるためのコミュニケーション能力が格段に上がる

最後にもう一度言いますが、コミュニケーション主義の立場をとったからといって、文法を捨てる必要はありません。文法のブラッシュアップは大事です(自習時間とかに)。ただ文法的なルールにこだわりすぎるとコミュニケーションに弊害で出てくる可能性があるということを僕の経験をもとにお話しさせていただきました。

今回の話は、特にフランス語圏で生活をするフランス語学習者さん向けの話でした。手短でしたが、僕の話が少しでも参考になったとしたら幸いです。

それでは、また。

À bientôt !