かたつむりのフランス語カフェ

吾輩はふら語教師である。名前はかたつむりである。

フランス語版のポケモンの名前が秀逸すぎる!

ボンジュール!ふら語教師のかたつむりです。

今回は、フランス語版のポケモンの話。

しばらく前に、初代ポケモンゲーム赤・緑のフランス語版をプレーする機会があったのですが、そこに出てくるポケモンの名前がけっこう面白くて秀逸でした。

もちろんポケモンの日本語オリジナル名はどれも素晴らしくて「このニュアンスは翻訳不可能だろう」と思えるものもありますが、なかなかどうして、フランス語訳けっこうがんばっています。

フランス人の妻に聞いたところ、フランスではかなり評判の良い翻訳なんだとか。

ということで、この記事では僕が実際にプレーしてみて面白いと思ったフランス語のポケモン名をいくつか紹介したいと思います。

言葉の作り方とか語源とかけっこう面白いですよ。

目次

I. ポケモンと私

本題に入る前に、まず僕とポケモンの関係について少し説明しておきます(そんなのどうでもいいという方は次にお進みください)。

僕はいわゆるポケモン第一世代で、子供時代をポケモンと共に過ごしました。ゲームボーイの初代ポケモン赤・緑が発売され、アニメの放映が始まったのが、僕が小学生の頃です。

とくにゲームボーイの初代ポケモン赤・緑はうんざりするほどプレーした記憶があります。僕と同世代の人たちならわかってくれると思いますが、あれには何かしら中毒的なものがありました。

ですのでポケモンは僕の心のふるさとというか、思い入れみたいなものはけっこうあります。脳みそに刻まれていると言ったほうがいいかもしれません。たぶん、アラビア語版でゲームを渡されてもクリアできるんじゃないかと思うくらい、初代ポケモンゲームは僕の頭に刷り込まれています。

さて、そんな初代ポケモン信者の僕ですが、しばらく前に少し気がふさいでいた時期があり、その時期に初代ポケモンゲームのフランス語版をやってみました。

その第一の理由はいうまでもなく気晴らしですが、ポケモンの世界がどんなふうにフランス語に訳されているのかを知りたかったということもあります。

結果的には、とても面白い発見がたくさんありました。

II. ポケモンのフランス語名について一言

フランス語版のポケモンの名前の多くはいわゆる「かばん語」でできています。

かばん語というのは、二つの言葉をあわせて作った言葉のことです。

たとえば

熱さまシート=熱冷まし+シート
Bulbizarre フシギダネ =  «bulbe»(つぼみ)+  «bizarre»(不思議な)

みたいなかんじです。

ポケモンのフランス語名が実際に何と何の組み合わせでできているのかを推測するのは非フランス語ネイティブには簡単ではありません。

ただ、誤解なきように言っておくと、フランス語の翻訳者は何も非ネイティブを困らせるためにかばん語をつくるという言語的な実験をしているわけではありません。

ポケモンの日本語オリジナル名がそうであるように、ポケモンのフランス語名も子どもにわかりやすく直感的に理解しやすいような名前がつけられています。

III. 秀逸なフランス語名のポケモン20匹

それでは、以下に秀逸なフランス語名のポケモンを20匹紹介します。

1. Bulbizarre フシギダネ     

«bulbe»(球根)と  «bizarre»(不思議な)

フシギダネの形態はどちらかというと種というより球根なのでこの名前になりました。日本語名には「不思議だね」という文章も読み取れますが、フランス語名にはなし。

2. Herbizarre フシギソウ 

 «herbe»(草)と  «bizarre»(不思議な)`

3. Florizarre フシギバナ 

«flore» (花)と  «bizarre»(不思議な)

4. Salamèche    ヒトカゲ

«salamandre» (サラマンダー、火トカゲ)と  «mèche»(灯芯)

«mèche»(灯芯)は尻尾の炎を指しています。

5. Reptincel リザード
«reptile» (爬虫類)と  «étincelle»(火花)

6. Dracaufeu リザードン

«dragon(ラテン語ではdraco)» (ドラゴン)と  «au feu !»(火事だ!)

ヒトカゲ→リザード→リザードンの進化は、体型の進化 «salamandre»(火トカゲ)→ «reptile»(爬虫類)→ «dragon»(ドラゴン)と炎の大きさの進化 «mèche»(灯芯)→ «étincelle»(火花)→ «au feu !»(火事だ!)で表されています。

7. Chenipan キャタピー

«chenille»(毛虫)と  «chenapan» (いたずらっ子)

「わんぱく毛虫」みたいなニュアンスでしょうか。

8. Chrysacier トランセル

«chrysalide»(さなぎ)と  «acier»(はがね)

9. Papilusion バタフリー

«papillon»(蝶々)と  «illusion»(幻想)

10. Pikachu ピカチュウ

これは変化なし。世界共通語ですね。

11. Mystherbe ナゾノクサ

«Mystère»(謎)と  «Herbe»(草)

そのままです。

12. Magicarpe コイキング

«magique»(魔法の) と  «carpe»(鯉)

最弱ポケモンから最強ポケモンに進化するコイキングの特徴を捉えたネーミングです。

13. Évoli イーブイ

«évolution»(進化)と  «lithe»(石)

石はイーブイの進化に必要な道具ですね。

日本語のイーブイはもともと英語のevolutionから来たみたいなので、この訳はもっともといっていいでしょう。

14. Aquali シャワーズ

«aqua» (水)と  «lithe»(石)

15. Voltali    サンダース

 «volt»(ボルト)と  «lithe»(石)

16. Pyroli ブースター

«pyro» (火)と  «lithe»(石)

pyromaneは「放火魔」のことです。

17. Minidraco ミニリュウ

«mini» (小さい)と  «dragon(ラテン語ではdraco)» (ドラゴン)

18. Draco ハクリュー

«dragon(ラテン語ではdraco)» (ドラゴン)

19. Dracolosse カイリュー

«dragon(ラテン語ではdraco)» (ドラゴン)と  colosse(巨人)

まとめ

以上、フランス語版の秀逸なポケモン名を紹介しました。まだまだ紹介したい名前はあるのですが、今回はこれくらいにしておきます。

また折をみてフランス語版のポケモンの話はしようと思っています。乞うご期待。

それでは、また。

À bientôt !