かたつむりのフランス語カフェ

吾輩はふら語教師である。名前はかたつむりである。

フランス語のポケモン名解説 No.001-No.034

ボンジュール!ふら語教師のかたつむりです。

フランス語ができるポケモンファンの皆さん、お待たせしました(待ってないかw)。本日は、ふたたびフランス語版のポケモンのお話。

先日、初代ポケモンゲーム赤・緑のフランス語版をプレーしてみたらフランス語のポケモン名が面白かったという話をしました(記事はこちら:フランス語版のポケモンの名前が秀逸すぎる! )。

その時の記事に面白いフランス語のポケモン名をいくつか解説付きで紹介し、Xでも何度か投稿をしたのですが、思いの外反響が大きかったので、いっそのこと初代ポケモン151匹すべてのフランス語名を解説することにしました

ただ、一気に151匹を解説するのは大変なので、何回かに分けます。今回は、No.001(フシギダネ)からNo.034(ニドキング)まで。

ちなみに今回はフランス語名の由来だけではなく、フランス語の読み方も併記しました。言葉の作り方が分かっても、肝心のポケモン名をどのように発音するのかわからないというのは本末転倒ですからね。

今回の範囲で特に秀逸な名前は、Dardargnan(スピアー)とRapasdepic(オニドリル
)です。

さて、どんな言葉が隠されているでしょう?

目次

I. フランス語のポケモン名について一言

これは以前の記事にも書きましたが、フランス語のポケモン名は基本的にカバン語(mot-valise)でできています。カバン語というのは、二つの言葉を合わせて作った造語のこと。

日本語だと、たとえば、「熱さまシート」=「熱冷まし」+「シート」のような造語です。

「し」の部分が共通しているのがミソですね。

フランス語では、Bulbizarre(フシギダネ)= «bulbe»(球根)+ «bizarre»(不思議な)という感じ。

[b]の音が共通していますね。

このように、フランス語のポケモン名にはカバン語を用いたものが多く、なかには二つだけではなく、三つ以上の言葉が隠されているケースもあります

二つの言葉を混ぜ合わせるだけでもすごいのに、三つ以上も意味があるなんてもはや神技ですねw。

ちなみに、進化したポケモンの名前は基本的に「攻撃性」もしくは「体型」の増大を表す言葉で表現されています

しかし、百聞は一見にしかず。御託を並べるのはこれくらいにして、実際のポケモン名を見ていきましょう。

II. フランス語のポケモン名解説 No.001-No.034

No.001 Bulbizarre(ビュルビザール) フシギダネ     

«bulbe»(球根)と  «bizarre»(不思議な)

フシギダネの形態はどちらかというと種というより球根なのでこの名前になりました。日本語名には「不思議だね」という文章も読み取れますが、フランス語名にはなし。

No.002 Herbizarre(エルビザール) フシギソウ 

 «herbe»(草)と  «bizarre»(不思議な)`

No.003 Florizarre(フロリザール) フシギバナ 

«flore» (花)と  «bizarre»(不思議な)

No.004 Salamèche(サラメッシュ) ヒトカゲ

«salamandre» (サラマンダー、火トカゲ)と  «mèche»(灯芯)

«mèche»(灯芯)は尻尾の炎を指しています。

No.005 Reptincel(レプタンセル) リザード


«reptile» (爬虫類)と  «étincelle»(火花)

No.006 Dracaufeu(ドラコフー) リザードン

«dragon(ラテン語ではdraco)» (ドラゴン)と  «au feu !»(火事だ!)

No.007 Carapuce(カラピュス) ゼニガメ

« carapace »(甲羅)と« puce »(蚤、ちび)

「小さい亀」というニュアンスの可愛らしいネーミングです。

No.008 Carabaffe(カラバッフ) カメール

« carapace » (甲羅)と« baffe » (平手打ち)

Carapuce(カラピュース)が Carabaffe(カラバッフ)に進化。「平手打ち」が名前に加わったことにより、より強くなったことが示されています。

No.009 Tortank(トルタンク) カメックス

« tortue »(亀)と «tank » (戦車)

No.010 Chenipan(シュニパン) キャタピー

«chenille»(毛虫)と  «chenapan» (いたずらっ子)

「わんぱく毛虫」みたいなニュアンスでしょうか。

No.011 Chrysacier(クリザシエ) トランセル

«chrysalide»(さなぎ)と  «acier»(はがね)

No.012 Papilusion(パピリュージョン) バタフリー

«papillon»(蝶)と  «illusion»(幻想、幻覚)

No.013 Aspicot(アスピコ) ビードル

« asticot »(蛆虫)と « picot »(棘)

「蛆(うじ)虫」と聞くと可愛くないですが、フランス人にとっては「毛虫」くらいのニュアンス。

No.014 Coconfort(ココンフォール) コクーン

二通りの解釈が可能。

« cocon » (繭)と« confort »(快適さ)→「快適な繭の中にいる生物」

« cocon »(繭) と« fort »(強い、硬い)→「硬い鎧のような繭」

No.015 Dardargnan(ダルダルニャン) スピアー

3つの言葉が隠れています。

まず、« dard » (毒針)。

そして、« dare-dare»(大急ぎで)。スピアーが敏捷であることを示しています。

さらに、 « d’Artagnan »(『三銃士』で有名な軍人ダルタニャン)。

No.016 Roucool(ルクール) ポッポ

« roucouler »(鳩がクウクウ鳴く)と « cool »(クールな、落ち着いた)

No.017 Roucoups(ルクー) ピジョン

« coup »(打つこと、打撃)という攻撃性が名前に加わり進化が示されます。

No.018 Roucarnage(ルカルナージュ) ピジョット

« carnage »(大量殺りく)

ポッポ→ピジョン→ピジョットの進化は、 « cool »(クールな、落ち着いた)→« coup »(打つこと、打撃)→« carnage »(大量殺りく)と攻撃性が増大することで示されていま

す。«rou»は共通。

No.019 Rattata(ラタッタ) コラッタ

« rat »(ネズミ)

コラッタに似た可愛らしい音の響きで決まったようです。英語名も同じ。

そもそも日本語名のコラッタは、「コ(小さい)」+「ネズミrat(英)」から来ています。

No.020 Rattatac(ラタタック) ラッタ

« rat »(ネズミ)と« attaque »(攻撃)

攻撃的なニュアンスが付け加わり進化したことが示されます。

No.021 Piafabec(ピアファベック) オニスズメ

« piaf » (スズメ)と« à bec »(くちばしをもった)

「攻撃的なスズメ」というニュアンス。

No.022 Rapasdepic(ラパスドピック) オニドリル


少なくとも三つの意味があります。

« rapace »([形]獰猛な、[名]猛禽類)

« pic »(キツツキ、つるはし)あるいは « pique »(槍)。オニドリルの長いくちばしのことですね。

« as de pique »(スペードのエース)。スペード(pique)のエース(as)はしばしば「死」の象徴として考えられています。

No.023 Abo アボ

(ほぼ)変化なし。

そもそもアーボって、ボア(Boa)の逆さま言葉なんですね。

No.024 Arbok アーボック

変化なし。

No.025 Pikachu ピカチュウ


変化なし。

No.026 Raichu ライチュウ

変化なし。

No.027 Sabelette(サブレット) サンド

 « sable » (砂)と« belette » (イタチ)

No.028 Sablaireau(サブレロー) サンドパン

« sable » (砂)と« blaireau » (アナグマ)

サンド→サンドパンの進化は、« belette » (イタチ)→« blaireau » (アナグマ)への体型の進化で表されています。

No.029 Nidoran♀ ニドラン♀

変化なし。

No.030 Nidorina ニドリーナ

変化なし。

No.031 Nidoqueen ニドクイン

変化なし。

No.032 Nidoran♂ ニドラン♂

変化なし。

No.033 Nidorino ニドリーノ

変化なし。

No.034 Nidoking ニドキング

変化なし。

 

まとめ

以上、No.001(フシギダネ)からNo.034(ニドキング)までフランス語のポケモン名を解説しました。

二つの言葉でできているもの、三つ以上の言葉でできているもの、変わらないものと、いろいろありましたね。

次回は、No.035(ピッピ)から解説します。乞うご期待!

それでは、また。

À bientôt !